セクシュアルリカバリープラン(性的回復計画/SRP)

セクシュアルリカバリープランとは何ですか?

 セクシュアルリカバリープランとは、SCAのそれぞれのメンバーが性的に何をするか、またはしないかについて書かれた「決意表明」である。私たちの多くにとって、セクシュアルリカバリープランは、SCAプログラムのまさしく核心、すなわち、回復への誓いである。私たちの強迫症をじっくりと厳しい目で観察する一つの実践的手段であり、またその強迫症から脱するための大きな一歩でもある。
 新人は、リカバリープランを抑圧的な基準と思い、恐れる傾向がある。しかしSCAは、私たちを性的強迫症の制約から解放するために存在するのであり、セクシュアルリカバリープランの目的は、私たちの性生活をより厳格にすることではなく、解放することである。
 性的強迫症の本質は、ファンタジーと混乱で私たちの本当の性的欲求を覆い隠すことである。セクシュアルリカバリープランは、私たちが混乱を突き破り、生活のこの微妙な部分を処理する方法を決定できるようにする。私たちの欲求が本当は何であるのかを見出すことは、本質的には「玉ねぎの皮を剥く」プロセスであり、私たちの欲求をはっきりと理解するためにどのような行動を取る必要があるかを決心するプロセスである。
 セクシュアルリカバリープランは、行動指針を定めることにより、性的興奮の混乱の中で心配を引き起こすような選択する必要がないようにし、さらには他の人と正直な交流ができるようにする。
 初心者はしばしば、禁止事項を強調し、理想から始めるが、それは実現不可能であることがわかる。私たちは、セクシュアルリカバリープランに取り組むことを通じて、自分自身にあまりに多くの制限を加えないよう用心することを学ぶ。私たちは、回復での新しい生活では、古い態度や性的な、また性に関連した行動を、新しい行動、人々、場所、ものごとに取って代える必要があることにも気を配っている。これらは、私たちが嗜癖的な過去では無視するか決して求めなかった、私たちの生活に不可欠な要素である。次第に私たちは、よりいっそう建設的な性行動を加えることができるようになる。そしてたいていのSCAメンバーにとって、セクシュアルリカバリープランは絶えず深まり進展していく。
 多くのメンバーが、セクシュアルリカバリープランを使ってすぐに行動を変えられる。他のメンバーは、自分で禁じると判断した習慣から離れる。たいてい私たちは、底つき行為を決めて、どのような状況であってもそれに身を任せないようにする。
 セクシュアルリカバリープランの一つの目的は、自分の性と「交渉する」ことを阻止することであるが、時々自分自身に許可することができる性行動を「グレーエリア」として保持しているメンバーもいる。
 回復の初期やある時期に、他のプランが効果がなかった時にだけ完全な禁欲の期間を決めるメンバーもいる。
 私たちの多くが、しらふのときに、自分たちが強迫的でない性行動を実は深く恐れていたのだと自覚する。セクシュアルリカバリープランは、この恐れを再検討し、そして自分の性を本当に楽しむ許可を、おそらく初めて、得る手段となる。

セクシュアルリカバリープランはなぜ「書く」のですか?

 大多数のメンバーが最も効果的であるとわかったのは、自分のセクシュアルリカバリープランを文書にして、将来すべきあるいはすべきでない行動をリストアップしていくことだ。文書にしていないプランで苦労しているメンバーにとって、プランを文書にすることが解決となるかもしれない。プランを紙に書くというまさしくその行為は、セックスと恋愛の強迫観念について考えをはっきりとさせるようである。事実、一部のメンバーは、正式なセクシュアルリカバリープランを書き始めた時にだけ、自分の性生活がどうあることを望んでいたのかを悟ったそうである。
 重要なのは、どの習慣が私たちにとって特別に破壊的なのかを判断することである。そして人によっては、セクシュアルリカバリープランの出発点は、その人が改めたいと望むいくつかの特定の行動となる。また自分の性のすべての局面を再考する必要がある人もいる。
 リカバリープランを文書にすることは、私たちの否認システムが、性的な出会いがあったときにプランをその場で変えてしまうという正当化を防ぐ。

自分のセクシュアルリカバリープランを他の人たちと話し合うのはどうですか?

 私たちのほとんどは、これが役に立つとわかっている。性生活のごく最初の時期から、たいていの性的強迫症者は、自分たちに最も苦痛をもたらしていたものについて他の人と話し合うのは不可能だ、と感じてきた。私たちは「普通の」人が得られる援助や指導を自分たちは得る資格がないと感じた。そして私たちの多くが、まだ性を非常に孤独なものとみなす傾向がある。
 私たちは、性というこの基本的な本能が神秘と感情、いわば反動的なシニシズム*1で覆い隠されていくのを許してきた。そして自分たちの性と恋愛の価値システムを信頼することができなくなった。理解ある他の人たちと分かち合うことで学ぶことによって、孤立と自己憐びんの破壊的なパターンを壊すのは、私たちにとって重要なことである。
 セクシュアルリカバリープランを、行き当たりばったり変えるのは、良い考えではない。私たちのほとんどは、プランの変更をまず他のメンバーまたはスポンサーに相談する。自分のセクシュアルリカバリープランを分かち合うことは、それを自分の頭の中から出し、生きたそして成長するものとする。私たちは、信頼することを学んだプログラムの中で、自分のプランを人々と相談する。ミーティングで、あるいは他のメンバーまたはスポンサーとコーヒーを飲みながら。自分の性について、またその問題と可能性について、自分以上に知る人はいない。しかし、私たちは他の人々の助けなしにそれを知ることができない。その上、私たちの多くは、良心のとがめを過度に感じてしまうため、私たちのプランの細部について議論することにより、自分の性についてより客観的な展望ができるようにもなる。

もし他の人たちが私のセクシュアルリカバリープランを気に入らなかったらどうしますか?

 誰も、他の誰かのセクシュアルリカバリープランに対して賛成もしくは反対する権利を持っていない。SCAの「目的についての声明」では、メンバーは性的しらふを自分自身で定義する、と明確に述べている。したがって、自分に正直になることを学ぶことは重要であり、愛と励ましの雰囲気の中で最も正直になることができる。この雰囲気はこのプログラムでの癒しの要素である。私たちは陰口と批判を避けるようにする。
 たとえお互いのセクシュアルリカバリープランが異なるとしても、私たちは仲間を励ますことを学ぶ。また、仲間を励ますことによって、同じように仲間からの励ましを感じるようになる。

セクシュアルリカバリープランは私のために何をしてくれますか?

 セクシュアルリカバリープランは、性行動を変えるための指針を提供し、同時に「他のメンバーが最初の頃抱いていた恐れと混乱から抜け出す道を見つけたのだから、自分にも見つけられるだろう」という一種の安心感をもたらす。
 私たちのほとんどは、セクシュアルリカバリープランに従っていくと、12のステップとSCAの他の道具を使いこなせるようになることを発見する。

セクシュアルリカバリープランはどのように書くのですか?

 セクシュアルリカバリープランを書いて、利用することは、ステップ4と5に基づいている。私たちは、自分の性行動の棚卸し表を恐れずに徹底して作り、性の過去のすべての面を評価する際に、自分のハイヤーパワーの助けを求める。AAのビッグブックは、性についての厳しい正直さについて述べている。「こうして私たちは今後の、まともで健全な性生活をつくり上げようとした。これまでもったすべての性的関係について、それが自分本位だったかどうかテストしてみた。自分たちの理想を考え、それに自分が沿えるようにと、神に助けを求めた。私たちの性的能力は神から与えられたものであり、したがって良いものであること。軽くあしらったり、自分中心に利用したり、また軽蔑や嫌悪すべきものではないことを、常に忘れないように心がけた」(英語版69ページ、日本語版第4版101ページ)
 性的な決定をする際に神の意思を求めることで、私たちは、自分の生活を手に負えないものにしてきた行動、人々、場所そしてものごとからの解放を求める。
 しかし、AAでいわれるような完全に飲むのを手放す生き方とは違い、私たちは完全な禁欲を目標に努力しているのではない。SCAでは、メンバーが自分自身でしらふの生き方を定義するからである。禁欲とは、部分的であれ完全なものであれ、このプログラムの道具にすぎず、禁欲することによって、自分の性的行動をどう選択したいかについて明確な答えが得られるようになる。最終的な目的は、性を排除したり抑制することではなく、神が意図するように性を私たちの生活に統合することである。強迫的な摂食の問題と同様に、私たちの目的は、根源的な人としての生き方の中で自由と責任を達成することである。食べることもセックスすることも、どちらも本来は健全な行為なので、どの性行動、恋愛関係、環境そしてものごとが自分の生活にとって適切なのかを決定する際に神の導きを求める。
 私たちのほとんどが共通に持つと思われる特徴は、極端で、強迫的で、不正直で、巧妙で、搾取的で、そして虐待的な性行動をすることであり、私たちの生き方を手に負えない状態にしてきた。性とは本来、正直で、思いやりがあり、人生を肯定し豊かにするものである。そのような性が生活の中に統合されるならば、私たちは自由になり、現実をありのままに受け止めて生きていけるようになる。
 セクシュアルリカバリープランは、自分たちの衝動のさまざまな側面を見分けて、ハイヤーパワーからの助けを求めながら、受け入れられなかった生き方を前向きの、進歩的な、豊かにする生き方に置きかえることができるという原理に基づいている。「アルコホーリクス・アノニマス」(ビッグブック)の63ページ*2の「第3ステップの祈り」を私たちSCA用に書き直したものを以下に示す。

 神よ、私をあなたにささげます。あなたの意志のままに、私を利用してください。私が自分勝手な思いと、性的強迫症から解放されて、あなたの意志を実行できますように、どうぞ導いてください。私の困難をどうか取り除いてください。その結果として、私の勝利が、あなたの力、あなたの愛、あなたにもらった生き方の証となりますように。私が手助けしたいと願う人たちにとって...。私がいつもあなたの意志を行うことができますように。

 セクシュアルリカバリープランを書くために提案されているフォーマットがあるので、あなた自身のプランを書くために使ってほしい。SCAメンバーによるリカバリープランの例がその先のページにある。

フォーマット

 セクシュアルリカバリープランは、文書にした指針で、性的強迫症者である私たちにとって作用する、あるいは作用しない人々、場所、ものごとについて書かれたものである。
このプランの目的は、私たちが自分自身を表現したい方法を文書にして自ら明確にすることである。 明確に定義された文書のプランを持つと、私たちは適切な方法で自由に振る舞えるようになる。
どんなプランでも、文書にして、もう一人の人と分かち合い、力の及ぶ限り従うならば、効き目がある。下記の項目は、私たちが毎回その場で考えることなく自分の強迫症に対して効果をもたらすことができるよう提案されている。
それでは見てみよう。

1. あなたが解放されたいと思う行為、場所、人々を書く。 ________________________________________
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2. 上記の衝動が最もよく起こる時間帯を書く。 ________________________________________
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3. 自分の回復生活に積極的に付け加えたいと思う人々、場所またはものごとをリストアップする(現実的に。自分がするべきと考えているものごとではなくて、自分からすすんでしたいと思うものごとを加える)。 ________________________________________
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(訳注)
*1キニク学派の主張。現世に対して逃避的・嘲笑的な態度をとる。犬儒学派。シニスム。
*2日本語版第4版91ページ。