Q&A

Q1:SCAとは何ですか?

SCA(セクシュアル・コンパルシブズ・アノニマス)は、アルコホーリクス・アノニマスの12のステップを元にした、性的強迫症や性依存症の問題からのスピリチュアル(霊的)な回復プログラムです。メンバーは、SCAのミーティングに出席すること、性的強迫症と回復についての文献を読むこと、書くこと、祈ること、ステップをふむこと、プログラムに取り組むなかで発見するさまざまなことによって、性的ソブラエティと回復を達成していきます。


Q2:SCAがスピリチュアルなプログラムであるなら、SCAのメンバーであるためには教会に所属するか、または神の存在を信じなければならないのでしょうか?

SCAのプログラムは、宗教的というよりは、スピリチュアルなものです。私たちはこの両者は違うものであると信じています。SCAはどのような宗教・宗派にも属していません。SCAのメンバーは、いかなる宗教メンバーであることも、特定の神を信じることも、または信じないことも要求されません。不可知論者であっても、無神論者であっても、どんな宗教の信者であっても、メンバーはプログラムに取り組むことができます。プログラムによって信仰心が変化する仲間もいるし、変化しない仲間もいます。SCAにおいては、どんな要求もしません。私たちは、ミーティングにおいて、宗教的な議論をしないことを推奨するだけです。


Q3:もし私が無神論者か不可知論者だとしたら、この「ハイヤー・パワー*1」というものを、どのように扱ったらいいのでしょう?

SCAでは、「ハイヤー・パワー」が何を意味するのかをメンバーが各自定義しています。多くの仲間は、自分たちのSCAグループを「ハイヤー・パワー」としています。プログラムに取り組むことにより「(ハイヤー・パワーとの)スピリチュアルなつながり」を見いだす仲間もいます。あなたは自分自身でこの問題を解決するでしょう。あなたに役立つものがあるものなら、それが何であれ、あなたにとって適切なのです。お互いの信念を分かち合い、もし望むならあなたを導いてくれる仲間がきっといるでしょう。


Q4:もし私が強迫的で嗜癖的な性の問題を持っているとしたら、性依存症者でいっぱいの部屋にいて私は安全でいられるのでしょうか?

ニューカマー*2が自分の性的強迫症に対処し始める中で、安心感を得られるように仲間が助けるつもりでいても、誰かがあなたに言い寄らないという保証はありません。それを「13番目のステップ」と呼ぶ人もいます。そもそも、私たちは自分の嗜癖的な性的出会いを探すためにではなく、回復するためにここにいます。私たちは、自分の性行動をさらに強迫的にするためにではなく、責任あるものにするためここにいます。もし、誰かがあなたに言い寄ったとしたら、あなたには「ノー」と言う権利があります。


Q5:私が本当に夢中になれる人を見かけた時―もしそれがミーティングで起きたとしたら―私は我を忘れて強引に言い寄りそうで心配です。何かアドバイスはありませんか?

私たちはみんな人間です。私たちは単なる人間であり、依存症者でもあります。もしあなたがミーティングで他の仲間に夢中になってしまったら、あなたの信頼する仲間や、あなたのスポンサーに、あなたの気持ちを分かち合ってください。多くの仲間は、巻き込んだ相手を特定することなく、そのことをグループで分かち合うことはとても有益であると分かっています。仲間によっては、(自分が)巻き込んでしまった相手に対して、ある程度の自分の気持ちを明らかにすることを選ぶことさえあります。これは恐ろしいことのように思えるかもしれませんが、SCAのプログラムでの正直さとはそれだけ厳格です。回復への道は、他のメンバーと共に自分たちの秘密を分かち合う意欲により始まります。


Q6:ミーティングは出会いの場所ですか?

ミーティングはあなたの問題や強迫的性行動をやめたいという願いを共有してくれる協力的な人と出会うところであって、あなたの性的強迫症を満たすパートナーを探すためのところではありません。あなたがもし後者のような場を求めているなら、きっと落胆するでしょう。一部の場合をのぞいて、ほとんどの仲間は、自分の強迫症をあおるためにではなく、強迫症と向き合うためにミーティングに来ます。多くの性的強迫症者は魅力的で、性的にも刺激的なので、あなたが性的陶酔状態となったり、もしくはそうなるきっかけとなってしまうのも無理もありません。そういうときには、その気持ちを公然と、正直かつ適切に他の人と分かち合うことで、気持ちを鎮めるようにしましょう。


Q7:強迫的なセックスとは何ですか?

強迫的なセックスとは、私たちにはコントロール不可能な性的行動のことです。私たちは、この行動をコントロールできる力を持っていると思い込んでいますが、それは間違いです。私たちは、どんなにやめようとしても、公園、洗面所あるいは書店に入らずはいられません。テレホンセックスをする余裕がないにもかかわらず、それをやめることができません。売春婦/夫、ポルノグラフィーや性的なおもちゃに、アパートの家賃や食べ物のためのお金を使ってしまいます。私たちは他人の身体の一部を意識し続けます。度を越した、あるいは繰り返される、あるいは痛みを伴う、またはこれらが組み合わされたマスターベーションが私たちの問題となります。どんなに危険で魅力がなく、虐待的または不健康なパートナーとでもベッドで(あるいはさまざまな公共の場所で)セックスをします。私たちはセックスをしなければならないと感じるために、自分を止められません。性的強迫症になると、性的なことをほのめかしたり、他の人に(性的なことを)連想させるようなことをしたり、さらには、場にそぐわない性的な冗談をしつこく言ったりすることをやめられなくなります。この他にもさまざまな形があります。性的なことなら何でも避けようとする強迫観念でさえもそうです。バリエーションは尽きません。


Q8:どうしたらSCAが自分に合っているとわかりますか?

SCAがあなたに合っているかどうかは、あなただけが決められます。私たちのミーティングのいくつかのフォーマットは、SCAが自分に合っているかどうか判断する前に6回ミーティングに参加することを提案しています。もしも、あなたが「私たちのほとんどが共通に持つと思われる特徴」や「20の質問」に目を通して、自分にも当てはまると気づいたなら、SCAはあなたにとても合っています。何回かミーティングに出た後でも、居心地の悪さを感じているなら、近くに他のSCAグループがあるならそこに、さもなければこのパンフレットの最後に書いてある*3他の12ステップの性的回復を目指すグループのミーティングに参加してみてください。もしもあなたに強迫的なセックスをやめたいという願いがあるなら、自分に合ったプログラムを見つけることができるでしょう。


Q9:セクシュアルリカバリープランとは何ですか? またそれを作成するには、SCAのやり方に従わなければなりませんか?

セクシュアルリカバリープランは、私たちが、不健康で、自己破壊的で、危険で、強迫的で、堕落した、つまりは単純に愚かなことだと思っている、性に関連した個人的な行動のリストです。このリストは、私たちの嗜癖を焚きつけるもの、つまり、「トリガー*4」となったり、自分の強迫症をアクティング・アウト*5させたくなるものなどからなっています。つまり、「今日一日」を基礎にやめたいと思うボトムライン*6の強迫的行動のリストです。それは、私たちがすすんで手放し、自分の「ハイヤー・パワー」に引き渡そうとしているものです。その一方で、私たちが自分への報酬とし、回復での生活に加えたいと思っていることもバランスよく盛り込みます。報酬は、セクシュアルリカバリープランのとても重要な部分です。 報酬は、私たちの強迫的なパターンを「アクティング・アウト」することで犠牲にしていた、個人的で、本格的で、スピリチュアルな目標などからなっています。特定のことでも、概略でも構いません。多くの仲間は、とりわけニューカマーは、リカバリープランのこの側面をとりわけ難しいと感じています。なぜなら、彼らは自分たちのことを価値がなく賞賛に値しないと考えることに慣れているからです。しかし、報酬をおろそかにしてはいけません。報酬は、回復の道にとどまっていることにやりがいをもたらすものだからです。セクシュアルリカバリープランは書いてもいいし、書かなくてもいいですが、SCAのプログラムはセクシュアルリカバリープランを書くことを提案しています。書かれたセクシュアルリカバリープランは、より明瞭でより具体的で、思い出しやすく、また私たちのソブラエティを測定する道具になります。 プランを立てる際に従うべきやり方はありません。一番いいのは「自分のためにもっともよく役立つものは何か?」と問うことです。リトルブルーブック*7に、プランの例が載っています。あなたのグループやあなたのスポンサーが何か提案してくれるでしょう。私たちにとって快適な、責任あるセクシュアリティの独自の境界を決めることは、私たち各自の責任です。あなたの最初のプランがうまくいかない場合、それを修正することは何ら悪いことではありません。プランの書き換えは、メンバーが回復の中で成長する時によく行われます。


Q10:「スリップ」とは何ですか?

SCAプログラムでは、スリップとは各自のセクシュアルリカバリープランに違反することです。すなわち、不健康なものとして、強迫的な問題として、もう一生しないと願う行動として、あなたが自ら定義したことに没頭することをスリップといいます。


Q11:「(ソブラエティ*8の)日数を数える」意味はなんですか?

日数を数えることは、私たちが自分のボトムラインの行動をせずに、自分のセクシュアルリカバリープランに従って性的にソーバーである時間を見失わないためのものに過ぎません。メンバーの中には、この日数が非常に重要であると考え、比較的短いソブラエティでさえも誇りに思っている人がいます。最初は1日の間でさえ、ボトムラインの行動をしないでいることは奇跡のように思えるでしょう。また、アクティング・アウトを避けるのが難しく、日数を数えることをとても恐れている人もいます。日数を数えることは、あるメンバーがソーバーでいるのに役立つと思っている道具に過ぎません。それがあなたとって効き目があるなら、使ってください。そうでないなら、あなたのセクシュアルリカバリープランの他の回復が与えられることに専念してください。日数を数えることは、私たちがアクティング・アウトしたことを裁くための方法ではありません。


Q12:私はまだ「アクティング・アウト」がやめられないのですが、ミーティングに行ってもいいですか?

まだアクティング・アウトをしていることは、おそらくミーティングに行き続ける最も良い理由です。ミーティングでは、気楽に話すことができ、信頼のおけるスポンサーや仲間を見つけてください。アクティング・アウトが起こったことを分かち合いましょう。あなたが信頼する仲間と、アクティング・アウトについて、またその前後で自分がどう感じたかについて話してください。次にアクティング・アウトしたい欲求が起きたときや、アクティング・アウトをしてしまったときには、次のミーティングを待つのではなく、すぐにその仲間に電話をして自分の気持ちを分かち合ってください。愛情に満ち、支えになる仲間と自分たちの問題について話すことは、私たちがこの(12ステップの)プログラムの中ですることのできるもっとも価値あることの一つです。恥ずかしさを捨てることは嗜癖のサイクルを中断させて、そして回復への道の上に私たちをとどまらせるのです。


Q13:私はいくつのミーティングに行かなければなりませんか?

SCAの他のすべてと同じように、あなたが出席するミーティングの数はあなた自身の個人的な選択に任されています。11番目の伝統によれば、「私たちの広報活動は、宣伝よりもひきつける魅力に基づいて」います。私たちは誰に対しても特定の数のミーティングに出席することを要求しません。私たちはやがて、SCAプログラムは、それを必要とする人たちのためにではなく、それを欲する人たちのために役立つのだということがわかります。ミーティングは、行かなければならないと感じて行くのものではありません。私たちはミーティングが性的強迫症に対処する最もよい方法の一つと知っているから行くのです。多くの仲間は、ミーティングに行きたくないと思うことが行くための最大の理由であると感じ、行きたくない誘惑に抵抗してよかったということをよく分かち合います。ミーティングに行くことは、プログラムに取り組み、自分を振り返る上で重要な道具で、ほとんどのミーティングでの終わりの言葉と同じくらい単純です。「来続ければ、効果がある!」


Q14:ミーティングの分かち合いや他の時間に、何か話さなければなりませんか?

どのSCAのミーティングにおいても、話をしたり参加することを要求されません。私たちは、メンバーは通常の分かち合いに割り当てられた時間の中だけで話すことや、お互いに討論や批判をしないこと、そして、手を上げてミーティングのリーダーに気づいてもらうのを待つことを提案します。私たちはみんながSCAの問題からそれないように求めます。それは、私たちが皆ここにいる理由だからです。たいていのSCAメンバーは、ミーティングでSCA関連の問題について分かち合いをすることが回復に役立つとわかっています。いくつかのミーティングフォーマットは、質問に答えられるような適切な時間をミーティングの後に設けるよう提案してします。なお、ミーティングで質問をすることやその質問に答えられるようにしようとすることそれ自体は、討論を促す傾向がありますので注意が必要です。


Q15:ニューカマーはミーティングで区別されますか?

たいていのミーティングでは、ある時点で、ニューカマーに自分の名前を言ってもらいます。ニューカマーに恥ずかしい思いをさせないように、先につながっている仲間は、歓迎したり、自己紹介したり、質問に答えたり、援助したりします。SCAメンバーは、ニューカマーが初めてのミーティングではたいてい自分に確信が持てていないことをわかっています。自分の名前を言うことでさえ苦痛であるかもしれません。よく「私は自分の名前を言いたくないし、なぜここにいるのかわからないんです」というような言葉を聞きますが、それでも全く問題ありません。


Q16:私がミーティングにおいて求められることはなんですか?

何もありません。もし居心地が悪くなったら、あなたはいつでも自由にその場を離れることができます。私たちはあなたがとどまって欲しいと思いますが、あなたの気持ちはわかります。私たちもかつてはそうでした。最も困難なのは、初めてドアをくぐることです。しかし私たちのほとんどは後になってとてもくつろげるようになります。


Q17:ミーティングに行くことの他に、私自身を助けるためにできることはなんですか?

初めてのミーティングで、あなたが自分と気が合いそうだと思った人へ電話番号を聞いてください。もし電話番号リストがあったら1枚もらって家へ持ち帰ってください。SCAのパンフレットに印刷されている「私たちを良くするのを助けるもの*9」で提案されているように、電話はミーティングの間のミーティングです。リストに載っている、しかも自分の知らない仲間に電話をするのは、はじめの数回は本当にしづらいですが、電話しましょう。そうすることで電話した相手の仲間を助けることにもなります。 それから、できるだけ早くスポンサーを見つけてください。仲間に、自分と気が合うかどうか聞いてみてください。もしその人が気が合わないと感じるのなら、別の仲間に聞いてみてください。永久の取り決めである必要はありません。このような2人1組の方式は、自分の心を開いてプログラムに取り組むもう一つの手段であり、共通の問題を持ち理解する誰かと包み隠さず話す助けとなります。しかし、自分のスポンサーにあなたの問題を「背負ってもらう」ことを期待しないでください。あなたの回復はあなたの責任です。スポンサーにできるのは、あなたのためにそばにいることだけです。ミーティング会場に用意されているSCAの文献をもらっていきましょう。他の誰かと電話で連絡を取れなかったり、ミーティングに参加できないときでも、そばに置いておくことができます。あなたが回復へ取り組みはじめるために、はじめはおおざっぱでよいので、セクシュアルリカバリープランを作りましょう。自分が責任を持つ境界線を設定することはとても大切です。


Q18:私は本当に怖れています。私は自分が再びアクティング・アウトをしてしまわないかと怖れています。どうしたらよいですか?

衝動が始まったら、電話をしたり、ミーティングに参加したり、文献を読んだり、何か自分によいことをするか、あるいはこれらのすべてをしてください。私たちはみな衝動が始まる問題を持っていて、経験から-ときには悲しい経験から-自分ひとりでは手に負えないことを知っています。私たちには助けが必要です。助けや援助は、みんなあなたの回りにあって、あなたが求めるのを待っています。最初は難しく抵抗があると思いますが、この助けや援助を求めることができるようになれば、回復の道に挑む強さを手に入れることができます。


Q19:もし私がスリップしたら、他の仲間に見下されないでしょうか?

心配しないでください。このプログラムは他人を裁いたり、人を見下したりするためにあるのではなく、あなたを支えるためのものです。自分のスリップを、電話でも、個人的にでも、またはミーティングででも、誰かにできるだけ早く分かち合うことは、それがいかに恐ろしいとしても、とても大切です。もしあなたが一人で処理しようとするなら、恥や罪悪感や自分には価値がないという感覚が急速に沸き上がり、次のスリップを引き起こすおそれがあります。私たちがみなあなたのそばにいるのを忘れないでください。あなたは一人ではありません。


Q20:私は自分のことが、そしてアクティング・アウトしたりしてしまったことが本当に恥ずかしいです。もしこの内容すべてを仲間に話したら、笑われたり追い出されたりしませんか?

いいえ。私たちは、今までの自分たちの経験から、自分の問題や物語を話すことは、恥ずかしさや罪の意識を取り除き、自分自身に正直になるのを助けるものだということがわかっています。私たちの嗜癖を打ち破るために、「恥-低い自尊心-アクティング・アウト-さらなる恥」というサイクルを壊さなければなりません。私たちのグループの支援と愛情は、このサイクルを壊す非常に有意義で効果的な方法です。


Q21:私はミーティングで性的な経験についてありのままに話すことができますか?

はい。あなたは性的な経験についてオープンで正直でいてください。厳格な正直さはプログラムの重要な部分です。けれども、あなたが性的強迫症から回復しようとしている部屋いっぱいの人々の中にいることを忘れないでください。特定のアクティング・アウトの場所について話をすることはやめましょう。新しいアクティング・アウトの場所を知ることは、私たちの回復にとってとても有害である場合があります。特定の場所を特定せずにアクティング・アウトの場所の一般的な種類(バー、風呂、公園、書店、セックス・クラブ、喫茶店など)に触れるのはよいでしょう。

アクティング・アウトの行動を露骨に表現するのは、一部のメンバーを興奮させ、また他のメンバーの回復にとって有害です。アクティング・アウトの行動は、特定の、露骨な、扇情的な言い回しを使わずに、一般的な表現を使いましょう(例えば、のぞき趣味、フェティシズム、マスタベーション、匿名の性体験、テレホンセックスなどについて、特定の行動描写をしないで話すなど)。重要なのは、私たちがアクティング・アウトしたときに何を感じたか話すこと、恥ずかしさを表に出して、そしてそれを取り除くことです。ときには、分かち合いがどれだけ率直であるべきであるかの明確な境界があります。もしあなたがあまりにもあからさまな表現をしたときは、メンバーはミーティングの後であなたの助けになるようなフィードバックをしてくれるでしょう。


Q22:資格(・ピッチ・物語・ロングシェア)ミーティング*10とはなんですか?

私たちが資格、ピッチ、物語あるいはロングシェアミーティングをするとき、私たちはおよそ15分から20分の間、記憶をたどりながら、性依存や性的強迫症についての自分史を話します。子供時代のことや、性的な考えや行動が「全く正しい」というものではなかったことに気づいたときのことなどを含めて、私たちがどのようにこのプログラムにつながったか、つながってからどうであるかについて話すとよいでしょう。私たちは自分がどのように SCA に来たかを話したり、自分がどのように回復していくか、回復が自分にとってどんな意味があるかについて話しましょう。メンバーは、プログラムに取り組む過程で何度資格ミーティングをしても構いません。このプログラムは成長と変化をもたらすので、資格ミーティングをするごとにたいていは内容が変化していきます。ロングシェアミーティングは、信頼を築き、恥をおろし、本当の自分の姿をお互いにさらけ出し、新旧すべてのメンバーにインスピレーションを提供する方法です。感情たっぷりに話すか、事実に即して淡々と話すかどうかは、その時々の時間や雰囲気、個人の性格によります。資格ミーティングは、このプログラムにおいてとても貴重な道具です。


Q23:私の性的指向は問題となりますか?

確かにSCAはゲイの男性たちによって設立され、現在のところ主にゲイとレスビアンが参加していますが、SCAはすべての性的指向の男性と女性のための回復のプログラムです。伝統3によれば、「SCAのメンバーになるために必要なことはただ一つ、強迫的性行動をやめたいという願い」だけです。


Q24:私はHIV陽性ですが、そのことで差別を受けますか?

まったくありません。一部の仲間がこの症状を持っていますが、他のメンバーと同じ援助と愛情を得ています。


Q25:私の名前が周りに漏れないことや、私の話したことが周りに広まらないことはどのようにわかるのですか?

秘密を外に漏らさないことは、すべての12ステップのプログラムと同じように、私たちのプログラムで最も大切なことです。私たちはそれぞれ同じ問題を持っているということを忘れないでください。もし秘密を漏らしてしまったら、私たちはみな苦しむでしょう。他の仲間に対するうわさ(ゴシップ)や批判は仲間の回復に大きな損害を与え、やる気をなくさせます。


Q26:私の心はとても傷つき痛んでいるので、取り乱されずにはいられません。そんな私はばかにされるでしょうか?

傷と痛みは回復の不可欠な部分であり、私たちのすべてではないにしてもほとんどのメンバーがさまざまな度合いで経験しているものです。涙と苦しみを分かち合うことができる人たちは、そうするのに恐れを感じる人たちに支持され(しばしばうらやまれ)ます。


Q27:私はセックスを完全にやめなければなりませんか?

SCA は私たちのセクシュアリティ(性のあり方)を抑制することを主張しません。プログラムは私たちが健康な、責任のある方法で表現することを学べる環境を提供します。あるメンバーは、潔白さを得るために、一定の期間完全にすべてのセックスを絶ち、その間に、他の人たちとの性的でない親密さを得ることに努力します。また、あるメンバーは、虐待的な、強迫的な、下劣な、あるいは危険な性行動を絶ちますが、例えば、デートを通じて知り合った相手との、より責任を持った、慈愛に満ちたセックスをすることは続けます。私たち一人一人は違います。それぞれ別の場所にいます。どのように性的に自分を表現するのかについては、私たちはそれぞれ個別に決定をしなければなりません。ミーティングで他の仲間の話を聞くことは、性依存から回復するために自分が何をしなければならないのか、また何を避けなければならないのかを決める助けとなります。


Q28:私はマスタベーションをやめなければなりませんか?

マスタベーションがあなたにとって真に問題であり、やめたいと思っているのであれば。おそらくマスタベーションは、より深刻なアクティング・アウトを助長したり、あなたの健康を阻害するようになるまで強迫的になります。しかし、SCAプログラムに関する限り規則はありません。マスタベーションは、性的強迫症のより深刻な側面を扱っている間は、健全なはけ口となるでしょう。これは、他のメンバーからの考えを得る目的で、ミーティングで持ち出して、率直に話し合ってもよいテーマです。


Q29:「ソブラエティ」という言葉がプログラムで使われているようですが、それは一体なんのことですか?

SCAプログラムのパンフレットは、ソブラエティについてこのように表現しています。「性的ソブラエティは、自分たちのセクシュアルリカバリープランを忠実に守る個人に関して定義されます。セクシュアルリカバリープランは、ハイヤー・パワーともう1人のSCAプログラムのメンバー(スポンサーが好ましい)と分かち合った文書による計画で、今日一日を測るものさしです」。私たちはソブラエティという言葉を、自らのセクシュアルリカバリープランに従っているという意味で使います。私たちはセクシュアルリカバリープランを自分で決めるので、したがって「ソブラエティ」が何を意味するのかも自分で決めます。


Q30:もし SCA メンバーが自分でソブラエティの定義と境界線を決めるのなら、それは結局責任逃れになりはしないでしょうか?

はい、そうなることはあります。しかし私たちは通常そうではないことに気づきました。私たちのそれぞれが、依存症者あるいは強迫症者として、これ以上繰り返すことができない行動を持っていますが、まだ健康で責任感のある面も持っています。そのような行動はメンバーによってかなりさまざまです。ゆくゆくは解放されたいと思っている行動を、今のところは自らに許すことがありますが、それは私たちにそれほど損害を与えないし、より深刻な問題に取り組んでいる間は安全弁としての役割を果たすからです。ある人にとって危険なものは他の人たちにとっては無害であるかもしれません。もし私たちが本来はボトムラインとすべき行動を自分たちに許すなら、そのことにすぐに気づくでしょう。厳しい正直さはプログラムの不可欠な部分です。他の依存症者と正直に分かち合い、私たちがしていることが逃避であるかどうかを認めることを学びます。


Q31:私はSCAに参加することにより、性依存が治るのでしょうか?

私たちの多くは、自分たちは常に嗜癖を持っているだろうことを、つまり私たちに治癒はないことを現実のものとして受け入れます。しかし、私たちはそのことで落胆していません。プログラムへの参加と実践を通じて、私たちは自分のセクシュアリティを健康的で責任ある方法で表現できるところまで到達しました。プログラムに取り組むことは、本当に効果があることがわかりました。


Q32:私はどのくらいの期間プログラムに取り組む必要がありますか?

あなただけが答えることができます。プログラムでは、過去を悔やんだり未来を心配するのではなく、今日一日に焦点を当てたときに、最も効果的にかつ容易に自らの回復とソブラエティに取り組めることを学びます。しばらくプログラムに取り組んだのちにあなたがどうなっているかは、あなただけが知ることでしょう。


Q33:「12のステップ」をすべて踏むのに、期限はあるのでしょうか?

メンバーは自分の方法、自分のペースでプログラムに取り組みます。スポンサーは、あなたが12のステップに取り組む過程において助言を与えてくれます。スポンサーの数だけステップを踏む方法があります。「公式な」方法というものはありません。大事なことはあなたに利益をもたらす方法で取り組むということです。スポンサーによっては、ステップは順番通りに踏むべきであると信じていますし、必ずしもそうする必要はないと思っているスポンサーもいます。毎日取り組めるステップもあれば、特別な計画のようなステップもあります。スケジュールやタイムリミットはありません。


Q34:私はミーティングに行っていることを裁判官に示さなければいけません。いちばんよい方法は何ですか?

裁判所によって独自の用紙があります。もしあなたの裁判所でそういう用紙がないなら、いくつかのグループでは専用の用紙を用意しています*11。ミーティングに参加の際、ミーティングのセクレタリー*12または他の係の人にサインをしてもらってください。


Q35:ミーティングの長さはどのくらいですか?

ほとんどのSCAミーティングは1時間から1時間半行われます。ミーティングの前または後に、通常メンバーがうちとけて話すことができる時間があります。これを「フェローシップ」と呼んでいます。多くのミーティングでは、フォーマットの中でフェローシップのアナウンスがあります。フェローシップでは、近所のレストランでうちとけていろいろな問題について話し合ったり、おしゃべりをしたりします。


Q36:ミーティングの種類にはどんなものがありますか?

ミーティングによって、少しフォーマットが異なります。たいていは話す人がいて、一定の時間内でそれぞれ自分の分かち合いをします(資格ミーティングまたはロングシェアミーティング)。毎回あるいは月1回のミーティングのいくらかの時間を12のステップと12の伝統の学習に充てるところもあります。オープンにしているところもクローズド(つまり、性依存あるいは性的強迫症を持っていることを認めた人だけに制限する)にしているところもあります。特に大都市においては、特定のテーマに特化したミーティングもあります*13。例を挙げると、恋愛依存、ロマンティックな妄想、感情、セクシュアルリカバリープラン、デート、ビギナーの話題、再発と回復、近親相姦、などです。これらはすべてグループとグループの良心によって決められます。


Q37:SCAにはどれだけお金がかかりますか? もし私が経済的に困っていても献金しなければなりませんか?

SCAのメンバーになるために会費や料金は必要ありません。あなたが望むだけ献金してください。しなくても構いません。各グループの会場費やそのほかの経費は、献金によって賄われています。しかし献金できないからといって、グループから閉め出されたり、罰を受けることはありません。


Q38:私の問題に関する文献は入手可能ですか

ミーティングでは、たいていSCAに関連する文献を無料または実費で入手できます。書店では、自助グループや心理学のコーナーで、性依存症や共依存症などの関連する問題についての本が入手できます。その他にも、これらの問題についてとても役に立つ多くのよい資料などがあるでしょう。


Q39:私はSCAのミーティング会場からとても遠いところに住んでいるため、参加するのが大変です。なにか提案はないでしょうか?

SCA以外の12ステップ・グループが、あなたの住む地区か、SCAより近くにあるかもしれません。それがSCAの代わりになるかもしれません。セックス・アディクト・アノニマス(SAA)やセックス&ラブ・アディクト・アノニマス(SLAA)などです。これらのグループのメールアドレスと電話番号は、このパンフレットの最後に掲載されています*14

別の方法は、あなた自身がSCAグループを立ち上げることです。SCAは、フォーマットやミーティングの情報を提供して手助けします。2人いればミーティングは開けます。AAはそのようにしてスタートしました。あなたの生活や正気が危うくなったとき、ミーティングはとても効果があります。


Q40:ミーティングやSCAを運営しているのは誰ですか?

SCAはAAのものを編纂した12の伝統によって管理されています。SCAの伝統2は、「私たちのグループ目的のための最高の権威はただ一つ、グループの良心のなかに現される愛の神です。私たちのリーダーは奉仕を任されたしもべであって、支配はしない」と述べています。各グループは一定の期間ごとにセクレタリーや会計係を選出します。毎回誰かが、ミーティングの進行を、たいていは自分から買って出て、さもなければセクレタリーから頼まれて、行います。グループに影響を及ぼすすべてのこと(例えば賛否をとることなど)は、ミーティング中または通常のミーティングの後のビジネスミーティングで、グループの良心に従って決められます。

伝統4は、「各グループの主体性は、他のグループまたはSCA全体に影響を及ぼす事柄を除いて尊重されるべきである」と述べています。地区によっては、伝統9「SCAそのものは決して組織化されるべきではない。だがグループやメンバーに対して直接責任を担うサービス機関や委員会を設けることはできる」に基づき、各グループの代表からなるインターグループが組織されます。インターグループは、地区内の各グループから選ばれた代表によって構成され、各グループのメンバーに奉仕する活動を調整する手助けをします。インターグループではさらに、チェアパーソン、会計係およびセクレタリーを選出し、通常は継続的な活動をするための委員会を設けます。1990年には、各地のグループおよびインターグループが、公式文献、SCAの全体的なポリシーや関連事項、ニューズレター(the SCAnner)の発行を取り扱う、世界的なプロジェクトに従事するためのSCA国際サービス機関(SCAISO)の設立を承認しました。


訳注

*1 ハイヤー・パワー...「自分を超えた偉大な力」という意味。

*2 ニューカマー...新しく来た人。

*3 このパンフレットの最後に書いてある...日本語訳版には掲載していません。

*4 トリガー...スリップへの引き金となるような、周囲のものごとや状況のこと。とらわれの対象となる人々、ポルノ雑誌、ポルノサイトなど。

*5 アクティング・アウト...行動化。SCAでは特に自分の強迫的性衝動を実際の行動に移すこと。

*6 ボトムライン...それをしてしまうとスリップとなるような行動。自分の最低ライン。これと反対に、自分が目指している行動という意味で「トップライン」という言葉もある。

*7 リトルブルーブック...原題を「Sexual Compulsives Anonymous A Progrem Of Recovery」という、SCAの最も基本のパンフレットのこと。通称「リトルブルーブック(LBB)」と呼ばれている。

*8 ソブラエティ...スリップをしないでいる状態のこと。AAで飲酒せずにしらふでいることをソーバー(sober)と呼んでいることにちなんで、性的にしらふである状態を指す。

*9 私たちを良くするのを助けるもの...SCA東京ミーティングハンドブック第2版11ページ。

*10 資格(・ピッチ・物語・ロングシェア)ミーティング...資格・物語・ロングシェアミーティングは、通常の分かち合いに比べて、一人が話す時間が長い。ピッチミーティングは、話し手が次の話し手を順に指名していく形式のミーティング。

*11 専用の用紙を用意しています...SCA東京グループでは用意していません。

*12 セクレタリー...実務担当者。

*13 特定のテーマに特化したミーティングもあります...日本のグループでは通常ミーティングのみが行われています。

*14 このパンフレットの最後に掲載されています...日本語訳版には掲載していません。


このガイドは、南カリフォルニアのSCAメンバーによって書かれ、SCA国際サービス機関(SCAISO)によって承認されました。

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