SCAにおける電話の活用法

電話をすること

 性的強迫症の最大の協力者は孤立ですが、それ打ち破る効果的な手段が「電話」です。電話はいつも手に届くところにあり、ミーティングとミーティングの間に使える証明済みの「クライシス・バスター(危機を破壊するもの)」であり、ミーティングに出られないときには命綱にもなります。

 しかしながら、プログラムを始めたほとんどの仲間が、電話を使うことについて気まずさを感じ、同様に多くの人がかなり長い間ためらいます。

 なぜかというと、自分が電話することで相手を煩わせるのではないかと恐れるからです。性的強迫症は低い自尊心(セルフ・エスティーム)の病気なので、自分に関心がある人など誰もいないのではないか、何を言ったらいいのかわからない、ぎこちない間ができはしないだろうか、…などと感じています。

 しかし、私たちの低い自尊心は、裏を返せば激しいうぬぼれです。私たちは、ほとんどの人が自分よりレベルが低いと感じ、ろくに知らない人と連絡を取ったときには自分のプライバシーが侵されるのではないかと恐れます。私たちが望みもしないアドバイスをされたら?電話をかけて欲しくないときに電話がかかってきたら?

普段の電話とは違う

 私たちは、SCAでの電話は、普段の電話とは違うことを知る必要があります。実際に、私たちは、電話を使うときの新しい姿勢を学ばなければなりません。しかし、それは頭の中でうまくいくものではなく、あなたの学んだものを実際にやってみることによって可能となります。

 ですから、大切なのは、たくさんの電話をかけることです。これは私たちの最初のミーティングに足を踏み入れることと同じぐらい恐ろしくて、そして同じぐらい報われるでしょう。

 あなたのハイヤーパワーに、「私が電話をしているときにそばにいて、導きと、厳しく正直になれる力と、電話の相手から聞いたことを理解し受け入れる賢さを与えてください」とお願いすることは助けになるでしょう。

 電話をかけるには意欲が必要です。なぜ電話するのかを理解しようとしたり、断念したり、ましてや追い込んだりしようとせず、とにかく実行してください。すべてのミーティングで新しい電話番号を最低1つは手に入れて、できるだけ早くそれを使ってみてください。SCAの電話番号リストを他の電話番号とは別にいつも持ち歩いて、常に最新の状態にしておいてください。

 日々の目標を決めましょう。一日1回で構いません。仲間の中には、1日3回や6回、などの回数を決めている人もいます。

 あなたが内気なら、大きく目標を持つとよいでしょう。もし電話を1回するのが困難でも、2回するよりは簡単だし、5回するよりはもっと簡単だと気づきます。電話をするたびに、次第に不快さは取り除かれます。

 電話が「うまくいく」かどうかは問題ではありません。この段階では、あなたは単に電話をかけることを学んでみてください。楽しむ必要はありません。直ちに行動することは、結果より重要です。

習うより慣れよ

 SCAの電話は社交的なものではなく、霊的な道具であって、無駄なおしゃべりやうわさ話をするものではありません。また、友人関係を始めるための手段でもありません。もっとも友情が結果として生じることはしばしばあります。誰かに電話をかけたとき、再び電話をする前に、相手がかけ直してくれるのを待ってはいけません。相手があなたに電話をかけられない理由はたくさんあり、そしてその理由は重要ではありません。何年もの間、もしくは永久に「一方的な」ままの電話の関係もありますが、そのことで効果が減ることはありません。

 SCAの電話をするには練習が必要です。深刻な必要性が生じる前に始めるのがよいでしょう。もしあなたが誰かの電話番号を手に入れたら、気分がよいときに電話をして、ミーティングであなたが聞いて興味を持った話などを、普段通りに話してみましょう。何かピンと来るものが見つかるでしょう。

思いやりと用心を

 あなたが電話をした相手に「今話してもよいですか」と聞くのは思いやりがあることです。仲間が寝ている時間を尊重してください。たいていは午後10時までなら電話しても大丈夫ですが、「もっと遅い時間に電話してもよいですか」と相手に聞くのが一番です。仲間によっては、緊急のときには、深夜でも歓迎してくれますが、だからといって、乱用していいものでもありません。

 電話の相手と仲良くなる必要はありません。あなたと気が合う誰かを見つけるまでに5回くらい電話をしなければならないかもしれません。しかしこれは効果のある投資です。電話をかける─つまり何度も電話をする─ことは、いつの日かあなたのしらふを救うでしょう。

 口の堅さや、話を外に漏らさないことは必要不可欠です。仕事中の誰かに電話をするときには特に気をつけてください。あなたの電話の相手が、人が訪ねてきたり、大切な顧客との会議中あるいは卒業論文を書いている最中で、丁重に「話せません」と言えないかもしれないということを心に留めておいてください。相手が言いづらいときは、状況を察してください。

 もし相手が家にいないときは、留守番電話に話すのは驚くほどに効果があります。後で相手が聞いてくれると思って、あなたが悩んでいることを何でも吐き出してください。中断のない(!)この方が好きという仲間もいます。しかし、電話の相手に、とても個人的なメッセージを聞かれてしまう同居人がいないことを確かめてください(もしあなたに同居人がいるなら、電話番号を誰かに教えるときにそのことを知らせてください)。もしあなたが誰かに電話をして、折り返し電話をして欲しい場合は、そのように伝えてください。

1日に何回かSCA の電話を

 気軽に話せる相手をいったん見つけたら、定期的に電話をして、相手と気が合うかどうかを確かめてみてください。電話をするたびに距離を感じてきたら、誰か他の人を探してみましょう。しかし毎回より親しみを感じるなら、たぶんその調子でいけるでしょう。相手が折り返し電話をしてくれるかどうかに関わらず、その人へ毎日電話をかける計画を立ててみてください。毎日話す相手が最低一人いるというのが重要です。理想は、毎日話せる(SCAの)数人の仲間がいることです。

 SCAの電話をかけているとき、いつも苦痛に感じている必要はありません。このプログラム全般の諸側面についてとにかく話し合ってみてください。これは古くからのメンバーも新しいメンバーも同様に常に関心のあることです。

 仲間が発展させてきた興味深い電話のテクニックは、「ブックエンド方式」です。もし、雇い主や、疎遠になった恋人や、あるいは知り合ったばかりの青い目をして官能的にくちびるをとがらせた赤毛の女性…などへ緊張する電話をかけるときには、その前と後にSCAの電話をしてください。それによって心配が減り、ぎこちない状況を落ち着いてスムーズに対処できるようになります。

 長距離電話は、もしよその街でプログラムに留まっていたいときにはとりわけ重要です。旅行するときは常に電話番号を持ち歩いてください。市外通話は高くつくと思うかもしれませんが、スリップするよりずっと安くすみます。

 旅行をするときに、コレクトコールをする相手をあらかじめ準備する仲間もいます。そうすることで小銭が足りなかったり、友達の家または仕事上のパートナーの家から電話をするときでも心配ありません。

電話を受ける

 私たちがSCAで学ぶ重要な教訓の一つは、私たちの時間は、誰かに与えただけ豊かになっていくということです。SCAの電話をかけることが、普段の電話と違うのと同様、SCAの電話を受けるのもまた普段の電話とは違います。電話をかけることと同様、電話を受けることは健康的で、私たちを新しい方法で対処できるように導いてくれます。また、電話のかけ方と同様、受け方を学ぶことは、性的しらふにとってとても重要です。ハイヤーパワーに「ここにいて、相手の話を聞いたり話し相手に返事をするために導いてください」とお願いするのは役に立つでしょう。電話の相手に返事をするときに、ハイヤーパワーの英知と力と希望を伝えられるようになることが目標です。相手の話を聞いているときは祈り続けましょう。

話を聞くこつ

 話を聞くには技術と辛抱強さが必要です。それは後ろ向きなものではなく、つとめて前向きな行為であり、とても重要なことです。あなたは何が話されたかをじっくり考え、電話の相手があなたに何を求めているかを正確に分かる必要があります。あなたはどのようにすることが相手のためになるかを学ばなければなりません。

 あなたに時間がそれほどないときには、電話をかけてきた人に知らせる必要があります。そのときに、親しみのある表現を使えば、相手に「私を追い払おうとしているのだ」と感じさせないですみます(もしあなたが相手を追い払おうとしていなくても、追い払う権利はあります。相手と話したくないときにあまりよくしてあげる必要はないでしょうから)。もし相手と話せないときは、即座にはっきりと相手に伝えてください。そうすれば、相手は別の仲間に電話することができます。相手の性的しらふは、誰かと電話でつながっていることなので、実際に連絡することができる誰かを探すことが不可欠です。とにかく愛情を持って伝えてください。電話の向こう側にどのように伝わるかを忘れないでください。

 アドバイスをすることは、たとえ特に求められたとしても、用心してください。自分自身の経験と力と希望を話し、しかもアドバイスはしないようにします。相手に適切なSCAの文献を読むことを提案するのがよいでしょう。もし迷いがあるなら、スローガン(第一のことは第一に、気楽にやろう、スリップのことをよく考えよう、手放して神に委ねよう、自分は自分、人は人、など)に立ち戻ってください。

12 ステップの電話

 12ステップの電話は、SCAに参加しようかと考えている人にとって長い間─つまりその人が次のステップを踏む準備ができるまでの間─唯一の窓口となるかもしれません。大切なのは、プログラムの効用やミーティングの時間や場所についての一般知識を与えることにあります。

 あなた自身に焦点をあててください。自分はどうやってSCAのことを聞いたのかを話してください。説教やカウンセリングをしないよう用心してください。相手の気持ちに耳を傾けてください。ミーティングに参加する大切さを強調してください。自分のアノニミティを守り、相手のアノニミティも尊重してください。

 もし相手が自分の病気について写実的な表現をし始めたときは注意してください。これは性的強迫症者にとって危険です。

 もし相手がこのプログラムについてもっと知りたいといわれたら、SCAの特徴のリスト(私たちのほとんどが共通に持つと思われる特徴)を読んであげてもよいです。

 SCAの権威者として振る舞わないでください。私たちは常に自分の限界を覚えておかなければなりません。

受話器を取ってください

 SCA の電話というテーマで私たちがすることができる最も価値のあるアドバイスは次の通りです。「受話器を取ってください。それについて考えるのではなく、実践してください」